この車について
ケーニッヒ テスタロッサシリーズ初のオープントップモデル。1989年当時、最速のコンバーチブルスポーツカーともいわれていた。
ボディ素材はカーボンケブラーとFRPが選択可能だが、ほとんどがカーボンケブラーである。
1台目に作られたブルーメタリックのコンペティションカブリオは、アメリカでケーニッヒの代理店をしていたバディ・ウィルキンズによってオーダーされた。
1990年代にブルーメタリックのコンペティションカブリオは焼失した。
デザイン
ボディキットはカタログから選ぶことができた。
テスタロッサ ツインターボのボディキット(Ver.Ⅰ/Ver.Ⅱ)、コンペティションのボディキットが選択可能だった。


ブルーメタリックのコンペティション カブリオにはリアウイングはなく、ダックテールスポイラーで最高速(345km/h)でも十分なダウンフォースを稼いでいる。また、日常使いを考慮してなのか、テスタロッサの純正ドアミラーとヘッドライトが採用されている。
コンペティションボディキットはクーペとほぼ同じだが、リアバンパーのみカブリオ用に薄めのものになっている。


クーペと比べて反りあがっている
エンジンフードはコンペティション カブリオのために新しくデザインされたプレキシガラス製の透明なものが備わった。
メカニカル
エンジン、エグゾーストシステム、ホイール、タイヤはコンペティションと同じだった。
ツインターボ+スーパーチャージャー以外からも選択が可能で、過給機がないNAチューン仕様も存在している。
オープントップモデルでの一番の課題は、ルーフ、Bピラー、Cピラーがなくなった分の剛性をどうやって補うかである。それを解決するために、コンピューター支援設計(CAD)によって、チューブラーフレームに溶接する補強材の計算を行った。補強で一番重要だった部分は、ねじれ剛性を維持するために必要なシル(天井)と、Aピラーだった。そして、この問題のせいで改造費だけで55,600USD(現在の価値で約2,200万円)にも上った。
自動開閉のソフトトップルーフの取り付けなどは、テスタロッサ スパイダーで有名だったLorenz & Rankl(ローレンツ & ランクル)に委託された。
また、ルーフ開閉機構が備わったことによる重量増は、元のボディパネルを全てカーボンケブラーにすることにより改善した。
ブルーメタリックのコンペティション カブリオにはリフターがついており、上げ下げに要する時間は2分ほど。
ブレーキシステムはAPレーシングコンペティションブレーキキットが採用された。
インテリア
センターコンソールには、コンペティションと同様のブーストコントローラーがあり、最大1barまで設定可能。
インテリアはコンペティションと同様にテックアートによって張り替えられ、顧客の好みの色に変更することが可能だった。
ブルーメタリックのコンペティション カブリオには、普段の運転を楽しむためにソニーのCDプレイヤーが装着された。
スペック
| エンジン | Tipo F113A/F113B 4.9L(4,943cc) 180°V12 DOHC 48バルブ ツインターボ スーパーチャージャー |
| 最大出力 | 800PS(6,700rpm)/900Nm(5,000rpm) |
| 最高速度 | 345km/h |
| トランスミッション | 5速MT |
| 駆動方式 | MR |
| 0-100km/h | 約3.5秒 |
| 乾燥重量 | 1,380kg |
| サイズ(全長/全幅/全高) | 4,485mm/2,220mm/1,080mm |
| 生産期間 | 1989年~199?年 |
| 生産台数 | 5台以上(正式な台数不明) |
| デザイナー | ヴィットリオ・シュトロゼック(Ver.Ⅰ/Ⅱ) |
| ベース車両 | テスタロッサ |
| 後継 | ケーニッヒ コンペティション カブリオ Ⅱ |
個人的見解
現存しているかわからないが、ケーニッヒ・テスタロッサの中ではコンペティション カブリオⅡの次に希少。少なくとも4台が製作されているのを確認しているが、ブルーメタリックの1台目の車以外は詳細不明(焼失または不動になっている可能性大)。
古い写真はあるものの新しい写真や情報がなく、ほとんどの車両があまり走ることなくどこかで眠っているのではないかと考えている。また、ほかのテスタロッサシリーズと違いカブリオはアメリカで人気だったことは興味深い。
オークションにも全く出回らない超希少モデル。

