この車について
1990年のジュネーブモーターショーで1/5モックアップモデルが発表され、1991年のジュネーブモーターショーで実車が発表された。 当初は30台限定で販売する予定だったが、あまりにも高価だったことと世界的な不景気が重なり徐々に予定限定台数は減り、最終的に生産されたのはプロトタイプを含め3~5台だけだった。車を注文すると車と同じ仕様の1/5スケールモデルもプレゼントされた。

1990年にプロジェクトが発足されてから実際にドイツでナンバーを取得するまでは18か月かかっているが、合法的に公道走行可能なレーシングカーの中では一番最初の車であり、ドイツでのナンバー取得にはポルシェ本社が協力した。
そのため、90年代にケーニッヒに続いて962を行動走行可能としたダウアーやシュパン、DP、GT1レースカーのホモロゲーションモデルのベンチマークになっていたとも言われている。
また、C62のオープントップ(バルケッタ)モデルC62 ロードスターも開発される予定だったが実際に作られることはなかった。

日本には1台カークラフトによって輸入されたが、2018年~2019年ごろにアメリカに輸出された。
2台の車がAピラー上部にあったミラーを外し、Aピラー下側(ドア付近)に付け替えられている。
C62として現存が確認されているのは日本に輸入され、現在はアメリカにある赤のC62とベルギーにあるダークブルーメタリックの個体だけである。 もう1台あった赤のC62は2000年代初頭~中盤ごろに燃えてしまっており修復されたのかそのまま廃棄されたのかはわかっていない。
メカニカル
エンジンはボッシュ モトロニックによって制御され、当初900~1000馬力を発揮していたが公道走行を考えてデチューンされ、KKK製ターボは最低ブースト圧1.0bar、最大ブースト圧1.4barに設定され、最大ブースト時に800馬力を発揮する。
エグゾーストシステムも一から再設計され、保安基準に適合するように触媒などもつけられた。

足回りは前後ダブルウィッシュボーン式で公道走行用に特別設計されたH&R製のアジャスタブル・ショックアブソーバーとコイルスプリングが採用され、フロントはツインスプリングとなった。
ブーストメーターとECUチューンによってストップ&ゴーが多い道や低速でも扱いやすいようになっている。
ブレーキは962Cに使われているブレンボ製のものをそのまま使い、ブレーキパッドだけ変更された。
ホイールはBBS製RS特別仕様3ピースホイールとなり、フロントが10J×17、リアが13J×17で、装着されるタイヤはブリヂストン ポテンザ RE71となり、サイズはフロントが225/40 ZR17、リアが335/35 ZR17だった。 ※日本に輸入された車はC62専用に設計されたヨコハマ・グランプリ M3が装着された。

デザイン
ボディパネルはベースの962Cと似ているが全て新設計された。
シャシーはTCプロトタイプ社のアルミ製ハニカムツインチューブモノコックを使い、シャシーにはカーボンファイバー補強と一体型ロールケージも備わっており、ボディパネルは全てカーボンケブラー製となった。
フルカーボンケブラーのボディパネルはWethge(ヴェーチェ) GmbHによって製作され、ボディへの組付け、塗装は長年ケーニッヒの塗装やボディキットの組付けを行っていたRomaldini Carbody(ロマルディーニ・カーボディー)が行った。

ドアミラーは電動調整可能で962Cと同じくCピラーにある。


ヘッドライトは4灯式でプレキシガラス製カバーで覆われている。
アンダーパネルは行動走行可能にするためにロードクリアランスを取るために新設計され、962Cのグラウンドエフェクトを極力活かせるように設計された。
フロントウィンドウは熱線入りの合わせガラスでサイドウィンドウ、エンジンカバーはプレキシガラス製になっている。そのためエンジンルームを外から見えるようになっている。

ドアは乗り降りを考え上側のセクション(サイドウインドウ)をガルウイングドア、下側のセクションをバタフライドアにセパレートされている。

インテリア
962Cと同様に右ハンドル右シフトとなっている。
TechArtによってインテリアは張り替えられ、顧客が好きな色を選択できたが全ての車がブルーレザーだった。
メーターとメーターベゼルのカラーもオーダーメイドで好きな色の組み合わせにすることができた。
MOMO製小径フラットボトムステアリング、カーボンケブラー製フルバケットシート、4点式ハーネスベルト、ドアロック、ソニー製ステレオ、A/C、ハンドブレーキ、電動サイドミラーが標準で装備された。

狭いセンターコンソールにはケーニッヒの代名詞ともいえるブーストコントローラーが配置された。ブーストコントローラーは「600 700 800」の3段階から選択可能。
オーバーヘッドコンソールにはA/Cスイッチと吹き出し口、消火システム作動用のスイッチが装備された。
日本にあったC62
この日本に輸入された車はプロトタイプとして最初にドイツでナンバーを取得した黄色の個体と言われていたり新車の962Cから作られたと言われているが実際は分かっていない。
特別な最期のC62
最後に生産されたと言われているダークブルーメタリックのC62は、新車の962から作れらた他のC62と違い、唯一レースバージョンの962C(Brun Motor Sports Chassis 962-005BM)をベースに製作された。
この962Cはレースカー時代は日本のサーキットを走っていた。

この最後に生産されたC62は2011年にレース時代の仕様に戻すためにParr Motorsportに預られたが、C62の姿を残して現存している。
スペック
| エンジン | 3.4L(3,364cc) F6 SOHC 12バルブ ツインターボ |
| 最大出力 | 800PS(6,300rpm)/750Nm(4,500rpm) |
| トランスミッション | 5速MT |
| 駆動方式 | RMRlリアミッドシップ後輪駆動 |
| 最高速度 | 380km/h |
| 0-100km/h | 約3.5秒 |
| 車重 | 1,080kg |
| ホイールベース | 2,770mm |
| ドア | セパレート式(上側:ガルウイングドア 下側:バタフライドア) |
| 生産期間 | 1991年 |
| 生産台数 | 3~5台 |
| ベース車両 | 962C |
