偏愛ミーティングで出会った“本物のAMG”——Mercedes-Benz W124 E60 AMGという完成形

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今回のオートモビルカウンシル2026で、最も印象に残ったのは展示車両ではない。

会場外で行われていた「偏愛ミーティング」で出会った一台、
Mercedes-Benz W124 E60 AMGだった。

第一印象:質実剛健

初めて見た瞬間に思ったのは、質実剛健でありながら上品ということだった。

現代のAMGのような“速さを主張する雰囲気”とは違う。
それよりも、どこか上品さを前に出した、主張しすぎない落ち着いた佇まいが印象的だった。

エンジン:速さではなく“質”

実際に助手席に乗せていただいたが、エンジンの回転の上がり方がとにかく印象的だった。

回転はスムーズに、そして静かに上がっていく。
現代のAMGのような鋭さではなく、あくまで上品に加速していく感覚。

スポーティというよりも、“余裕のある速さ”という表現の方が近い。

乗り心地:長距離を支配する車

AMGと聞くと硬い足回りを想像していたが、その印象は完全に覆された。

乗り心地は決して硬くなく、むしろ
高速道路を速く、そして快適に流すための車という印象が強い。

現代のAMGのように速さを主張する方向ではなく、
高速巡航での質を重視する、いわばアルピナに通じるような思想を感じた。

これは現代のスポーツ志向のAMGとは明確に違う部分だ。

内装:現代では失われた質感

内装に関しても非常に印象的だった。

現代のAMGのように、カーボンやピアノブラックの装飾が目立つわけではない。

  • 本革
  • ウッド(木目)
  • 厚みがあり安っぽく感じないプラスチック

これらが組み合わさり、実用性と高級感が自然に共存している。

シート:柔らかさではなく“正しさ”

シートに座った瞬間に感じたのは、「柔らかすぎない」ということだった。

例えばトヨタ セルシオのような
ふんわりとした高級車のイメージとは違い、

  • 適度な沈み込み
  • 自然な姿勢
  • 足の置き場の角度の良さ

これらが絶妙にバランスしている。

普段乗っているプリウスと比べるのは酷かもしれないが、
長時間乗ってもストレスを感じないことが直感的に分かるシートだった。

ステアリング:手に伝わる上質さ

運転席に座らせていただいた際、ステアリングも軽く回させていただいた。

現代のように厚みを強調した仕上げではなく、
どこかしっとりとした質感で、操作した瞬間に滑らかさが伝わってくる。

過剰に演出された感触ではなく、あくまで自然で上質な手応えだった。

メーターが物語る”思想”

運転席に座らせていただき、軽く空ぶかし(2500rpm程)も体験させてもらった。

目の前にあったのは、
300km/hスケールのAMGスピードメーターと、6000rpmから始まるタコメーターのレッドゾーン。

現代の車であれば7000rpm以上まで回るのが珍しくない中で、
この数値だけを見ると「控えめ」に感じるかもしれない。

しかし実際には、その必要がない。

このエンジンは高回転で性能を発揮するのではなく、低回転から余裕をもって走るためのものだからだ。

必要以上に回さない。
無理に性能を誇示しない。

そのメーターの数値からですら、この車の”上品さ”が伝わってくるようだった。

ドアの音がすべてを物語る

そして最も印象に残ったのは、ドアを閉めた時の音だ。

「ガチャッ」という音はするが、響かない。
すぐに収まり、空間が静かに閉じる。

その瞬間、“完全に密閉された安心感””高揚感”が同時に訪れる。

人と車が繋がる瞬間

今回、この車のオーナーの方とお話しする機会があり、そのまま連絡先を交換させていただいた。

展示車を見るだけでは得られない、人と車が繋がる体験。

これこそが、今回のオートモビルカウンシルで感じた最大の価値だったのかもしれない。

結論

Mercedes-Benz W124 E60 AMGは、

速さを主張する車ではない。
しかし、そのすべてが完成されている。

質実剛健でありながら上品。
そして、乗る人に安心感と高揚感を同時に与える車だった。