- この車について
- デザイン
- Senna Can-AM | セナ カンナム
- デザイン
- Senna LM | セナ LM
- デザイン
- Senna XP Exclusive Editions | セナ XP エクスクルーシブエディション
- デザイン
- ~Senna XP “The Master Of Monaco” | セナ XP “マスター・オブ・モナコ”~
- ~Senna XP “The Home Victory” | セナ XP “ホーム・ビクトリー”~
- ~Senna XP “The Lap of Gods” | セナ XP “ラップ・オブ・ゴッド”~
- Senna XP El Triunfo Absoluto | セナ XP エル・トリオンフォ・アブソリュート
- デザイン
- デザイン
- スペック
この車について
2017年12月10日にオンラインで初公開され、2018年のジュネーブモーターショーで正式発表された500台限定のアルティメットシリーズモデル。アルティメットシリーズ第3作目の車。
マクラーレン初のサーキット走行を念頭に置いたロードカー。
日本では2018年5月22日に、東京都港区芝にある増上寺で発表会が開催され初公開された。
車名はブラジル出身のF1レーシングドライバー、アイルトン・セナにちなんでおり、1988年~1993年のF1シーズンにマクラーレンF1チームで活躍したセナに敬意を表している。
セナの売り上げの一部は、ブラジルで貧困層の子供たちに質の高い教育を提供することを目的としている非営利団体のアイルトン・セナ財団に寄付される。
日本での新車価格は9,926万円となった。
2024年5月末、ブルーノ・セナがドニントンパークサーキットで1分30秒5を記録した。非公式ではあるが、事実上、市販車部門での最速タイムとなった。

デザイン
720Sをベースにデザインされており、セナを設計で最も重視したのはサーキットでより速いラップタイムを達成できるロードカーにすることだった。そのため、デザインディレクターのロバート・メルヴィルは、空気力学を取り入れた軽量化デザインを施した。
軽量化のため、アルティメットシリーズ前作のP1に搭載された電気モーターは搭載されていない。それらのおかげで、マクラーレンの中ではF1の次に軽量な車となった(エルヴァの登場により、3番目に軽いモデルとなった)。
~メカニカル~
720Sの改良型のカーボンファイバー製モノコックとエンジンが使用されている。
ボディはシャシーだけでなく、パネルすべてがカーボンファイバーでできたフルカーボンボディとなっている。シャシーは720Sに採用されたモノケージIIを改良し、剛性などを強化したモノケージIIIが採用された。
エンジンはM840Tを改良したM840TRが搭載され、自社製7速デュアルクラッチトランスミッションを採用し、最高出力800馬力、最大トルク800Nmを後輪に伝達する。
電子制御のダブルエレメント(2層式)リアウィング(適材適所の設定が可能)やダブルエレメントリアディフューザー、ルーフスクープ、フロント・サイドエアインテーク、リアエアルーバー、大型フロントフェンダーなど多くの空力コンポーネントを備えている。これらの空力コンポーネントのおかげで、トラックモードで250km/h走行時、800kgのダウンフォースを発生させる。
ブレンボの新世代カーボンセラミックブレーキを採用し、従来よりも熱伝導率が3.5倍向上したコンパウンドを使用することで、ブレーキの小型化と軽量化を実現した。ピレリ P-ZEROトロフェオRタイヤ用に設計された新しい軽量センターロックホイールも採用された。
アグレッシブなエグゾーストノートと軽量化の双方を実現するため、3本出しのインコネルとチタンで仕上げられたエグゾーストシステムが採用された。
マクラーレン伝統のディヘドラル・ドアが採用され、オプションでドア下部に強化ガラスウインドウを装着することが可能(視界向上のため)。
~インテリア~
インテリアの大部分は軽量素材のカーボンファイバーとアルカンターラになっていて、シートもフルカーボンバケットシートとなり、顧客の好みに応じて生地をアルカンターラかレザーを選択できるようになっている。
シート背後には、2つのヘルメットとレーシングスーツを収納するためのスペースがあり、サーキット走行を重視したデザインとなっている。
メーターディスプレイは、720S同様に折りたたみ式になっている。
ドライビングモードも720S同様にTRACK(トラック)、SPORT(スポーツ)、COMFORT(コンフォート)の3モードから選択可能。
Senna Can-AM | セナ カンナム
2019年、ブルース・マクラーレンとデニー・ハルムが走った1969年のカナディアン-アメリカン・チャレンジカップ(カンナム)から50周年を記念した3台限定のモデル。1969年にカンナムシリーズを走っていたM8Bのオマージュでもある。
公式から発表されていないため、セナの中でも特別な車である。
2021年にインターネットオークションサイトeBayに約300万ドル(約3億4,000万円)で出品された。

デザイン
エクステリアの変更はないが、カラーリングがオリジナルのセナとは異なる。
3台すべてがM8Bと同じ、マクラーレンオレンジ(ソリッドオレンジ)のボディカラーを纏っている。
リアフェンダーには当時カンナムを走ったブルース・マクラーレンとデニー・ハムスの名前が左右片方ずつ黒でペイントされている。ディヘドラルドアにはMcLaren CARS、ウイングエンドプレートにはCAN-NAMと黒でペイントされる。
ホイールはセナ カンナム専用の細身の5本スポークに変更されている。

~メカニカル~
エンジンはセナGTRと同じ最大出力825馬力、800Nmのものを搭載。
3本出しのエグゾーストから24金4本出しのエグゾーストに変更され、エグゾーストパイプはマットゴールドになっている。
ヒートシールドも24金。
Senna LM | セナ LM
セナLMは、1995年のル・マンにて初出場で総合優勝を果たしたマクラーレン F1 GTRを称えるため、総合優勝から25周年を迎えた2020年に20台限定で生産された。
うち7台(3台は右ハンドル)は、優勝を記念して5台のみ生産されたパパイヤオレンジを纏ったF1 LMへのオマージュとして同色で仕上げれらている。
日本に5台ほど正規輸入されている。
2020年7月に元F1ドライバーのエイドリアン・スーティルが、パパイヤオレンジのセナ LMでモナコで事故を起こしたが、マクラーレンによって修復された。


デザイン
ボディワークは、フロントフェンダーのルーバーやユニークなエグゾーストアウトレットなど、独自の内容が盛り込まれている。また、ポリッシュ仕上げのポートとシリンダーヘッド、24金のマットゴールドの4本出しエグゾースト、24金のヒートシールド、フロントフェンダーのルーバー、チタンパネル、ペイントされたLMの文字などがある。
F1 LMをオマージュしたパパイヤオレンジカラー、F1 GTRガルフカラーのオマージュ、F1 GTRウエストコンペティションカラーのオマージュ、グレーにパパイヤオレンジの差し色が施された個体が存在する。(これら以外のカラーリングを纏ったセナ LMも存在する。)
パパイヤオレンジとグレーのセナ LMはF1 LMを意識したOZ製センターロック5本スポークホイールが装着される。
~メカニカル~
エンジンは最大出力825馬力、800Nmを発生させるセナ GTRと同じものが搭載されている。
Senna XP Exclusive Editions | セナ XP エクスクルーシブエディション
アメリカ カリフォルニア州にある正規ディーラーのマクラーレン・ビバリーヒルズとMSOのコラボレーションによって3台のセナ XPを作り直し、製作されたワンオフカー。
セナ XP エクスクルーシブエディションは、マクラーレンを代表する偉大なレーシングドライバーであるアイルトン・セナのフォーミュラ1キャリアで最も顕著な3つのグランプリにインスパイアされている。
デザイン
各車両のエクステリアは、グロスカーボンファイバーボディでデザインされ、グランプリ開催国の国旗の色にマッチした特別なペイントワークが施されいてる。
リアウイングには各国の国旗が手描きで描かれ、インテリアのカーボンファイバー製サイドシルにはエアブラシで描かれている。これらの完全オーダーメイドのエクステリアとインテリアは、MSOの職人が780時間をかけて作り上げた。
細かい部分では、ボディカラーとマッチしたホイールキャップとブレーキ・キャリパー、国旗の色で仕上げられているセンターマーク付きステアリング、エッチング加工されたアクセルペダル、国旗とテーマ名が刺繍されたヘッドレスト、特別車内プレートなどがある。
3本出しのエグゾーストから専用の2本出しエグゾーストになっている。
~メカニカル~
エンジンは最大出力825馬力、800Nmを発生させるセナ GTRと同じものが搭載されている。
~Senna XP “The Master Of Monaco” | セナ XP “マスター・オブ・モナコ”~
“マスター・オブ・モナコ”は、1989年~1993年にかけて、市街地サーキットで有名なモナコグランプリでセナが記録した6勝を讃えている。




~Senna XP “The Home Victory” | セナ XP “ホーム・ビクトリー”~
“ホーム・ビクトリー”は、セナの母国であるブラジルと1991年のブラジルグランプリ(インテルラゴス・サーキット)での初優勝に敬意を表している。
セナのマシンはギアが6速しか入らなくなるトラブルがあり、ライバルたちに追いつかれる中、超人的なパフォーマンスと強運が母国での初勝利へと導いた。
アイルトン・セナ
「現実に戻ったのはフィニッシュラインを見たときだった。生きていること、インテルラゴスにいること、そして幸せな同胞たちと一緒にいることを幸せに感じた。人生で最高の勝利ではなかったが、自分のすべてを出し切った勝利だった。」




~Senna XP “The Lap of Gods” | セナ XP “ラップ・オブ・ゴッド”~
“ラップ・オブ・ゴッド”は、1993年のヨーロッパランプリ(ドニントン・パーク・サーキット)での活躍を讃えている。
5番グリッドからスタートしたセナは、雨でウェットコンディションに変化する中、1周目を終えてレースをリードした。セナはその順位を確固たるものとし、2位に1分以上の差をつけてトップでフィニッシュした。




Senna XP El Triunfo Absoluto | セナ XP エル・トリオンフォ・アブソリュート
マクラーレン・ビバリーヒルズが広報車として使用していたセナをイギリスにある工場に送り、2021年に作り直された。
アイルトン・セナの伝説的な1989年のメキシコグランプリでの勝利に敬意を表したワンオフモデル。
デザイン
セナ XP エクスクルーシブエディションとエクステリア、インテリアデザインはほぼ変わらない。
エクスクルーシブエディションとの大きな違いは、エクステリアがグロスカーボンファイバーではなく、グラファイトグレーに塗られていることである。



Senna Sempre | セナ センプレ
2024年5月1日、サンマリノGPでアイルトン・セナが悲劇的な死を迎えてから30年が経った。そこで、マクラーレンは2024年5月21日にフォーミュラカーのMCL38とセナ XPにアイルトン・セナにインスパイアされたカラーリングを施し、敬意を表した。
2024年5月26日に開催されたモナコグランプリの前座としてアイルトン・セナの甥にあたるブルーノ・セナがこのマシンでモナコの市街地サーキットを走った。

デザイン
ボディカラーはセナの母国であるブラジルの国旗をイメージしたイエロー、グリーン、ブルーの3色が使われている。
塗装の至るところにトリビュートメッセージが散りばめられている。ウイングエンドプレートとボンネットにはダブルSが描かれている。
車のサイドには、レースカーに乗ったセナと降りたセナが対になって描かれている。
フロントヘッドライトの後ろとリアディフューザーの両端にはマクラーレンでセナが使用したカーナンバーがグレーでペイントされている。
これらのペイントワークは、MSOの職人たちの手作業によるもの。


インテリアは、ドアパネルにアイルトン・セナのサインと言葉が記されている。
「私には偶像はいない。私は仕事、献身、能力を賞賛する。」と英語で記される。

スペック
エンジン | M840TR 4.0L(3,994cc) 90°V8 DOHC ツインターボ |
最大出力 | 800PS(7,250rpm)/800Nm(5,500rpm)(オリジナル) 825PS(7,250rpm)/800Nm(5,500rpm)(Can-AM, LM, XP) |
最高速度 | 340km/h |
トランスミッション | 7速MTモード付デュアルクラッチ |
駆動方式 | RMR | リアミッドエンジン 後輪駆動 |
0-100km/h | 約2.8秒(オリジナル) |
車重、乾燥重量 | 1,374kg、1,198kg(オリジナル) |
ホイールベース | 2,670mm |
生産台数 | 527台(XPを含めた正確な台数不明) |
デザイナー | ロバート・メルヴィル |
ベース車両 | 720S |
個人的見解
720Sからデザインが一新され、その車をベースに一番最初に作られたアルティメットシリーズがセナだった。
720Sを上品と表現するなら、セナはいい意味で下品。その理由は、圧倒的なまでの空力を追求した過激なデザインにあると感じる。720Sではサイドエアインテークを隠すようなデザインだったが、セナではサイドエアインテークがあり、そこを見るだけでもデザインの過激さが伝わる。GT3レースカー並みのデカいウイングをつけながら公道を走れることも魅力の一つである。一度でいいから運転してみたい。
デザインが悪いと批評ではあったが価値は徐々に上がり、現在の中古価格は1億8,000万円~となっていて、オプションや仕様によっては2億を超える。XPの中でも、エクスクルーシブエディションなどの特別な車は、3億近い価格、もしくはそれ以上になる可能性が高い。